エネルギー・環境問題への関心が高まる中、環境負荷の少ないクリーンエネルギーとして太陽光発電に注目が集まっている。これに伴い、太陽電池の世界における生産量も年々大幅に増加している。しかし、太陽電池の主要材料であるシリコンの需要が、半導体メモリーの需要増などを背景に急激に伸びてきており、原料確保が難しくなってきている。 ; こうした問題の有力な打開策として、色素増感太陽電池の開発に期待が高まっている。色素増感太陽電池は、従来の太陽電池に比べて極めて変換効率が高いのが特徴であるのに加えて、構成材料の資源的制約が少なく、製造コストも安価な為、次代を担う太陽電池として世界各国で活発な研究開発が行われている。 ; 本書は、この色素増感太陽電池(グレッツェルセル)について、国内関連特許公報をベースとして特許面からの精査・解析により、特許動向の全貌を明らかにし、諸所の課題と、今度の展開をまとめている。また、富士フィルム、シャープなど主要企業の特許展開、大学研究者の出願動向についても調査を行っており、巻末には関連特許公報一覧も収載している。